ABUSE PREVENTION 虐待防止のための指針

令和4年4月1日

1. 「虐待防止のための指針」の作成目的

障がい者に対する虐待は、障がい者に対する虐待が障がい者の尊厳を害するものであり、障がい者の自立及び社会参加にとって障がい者に対する虐待を防止することが極めて重要であることから、虐待防止法の趣旨を理解し法人全体で「虐待防止」に取り組むための指針とすることを目的として作成する。

2. 虐待防止に関する基本的な考え方

利用者の権利を守る砦であるという考えに基づき、権利の主体者である福祉サービス利用者の人権を守り、絶えず質の高いサービスの提供に努め、マネジメント・ガバナンスの質、財務の質、人材の質、支援の質、設備・環境の質、ステークホルダーに対するパートナーシップの質を向上させることを虐待防止の基本とする。

3. 障がい者虐待の定義

「障がい者」とは、身体障がい、知的障がい、精神障がいその他心身の機能に障がいがある者であって、障がい及び社会的障壁により継続的に日常生活又は社会生活に相当な制限を受ける状態にあるものと定義しており、「障がい者虐待」とは、擁護者、使用者、障害者福祉施設従事者等による虐待を特に「障がい者虐待」と定めている。

(1)擁護者による障がい者虐待

(ⅰ)擁護者の定義
「擁護者」とは、「障がい者を現に養護する者であって障害者福祉施設従事者等及び使用者以外のもの」と定義されており、身辺の世話や身体介助、金銭の管理等を行っている障がい者の家族、親族、同居人等が該当する。

(ⅱ)擁護者による虐待の定義

  • 身体的虐待:障がい者の身体に外傷が生じ、もしくは生じるおそれのある暴行を加え、又は正当な理由なく障がい者の身体を拘束すること。
  • 性的虐待:障がい者にわいせつな行為をすること又は障がい者にわいせつな行為を行わせること。
  • 心理的虐待:障がい者に対する著しい暴言又は著しく拒絶的な対応その他障がい者に著しい心理的外傷を与える言動を行うこと。
  • 放棄・放置:障がい者を衰弱させるような著しい減食、長時間の放置、擁護者以外の同居人による①から③までに掲げる行為と同様の行為の放置等養護を著しく怠ること。
  • 経済的虐待:擁護者又は障がい者の親族が当該障がい者の財産を不当に処分することその他当該障がい者から不当に財産上の利益を得ること。
(2)障害者福祉施設従事者等による障がい者虐待

(ⅰ)障害者福祉施設従事者等の定義
「障害者福祉施設従事者等」とは、障害者総合支援法等に規定する「障害者福祉施設」又は「障害福祉サービス事業等」に係る業務に従事する者と定義されている。

(ⅱ)障害者福祉施設従事者等による虐待の定義

  • 身体的虐待:障がい者の身体に外傷が生じ、もしくは生じるおそれのある暴行を加え、又は正当な理由なく障がい者の身体を拘束すること。
  • 性的虐待:障がい者にわいせつな行為をすること又は障がい者にわいせつな行為を行わせること。
  • 心理的虐待:障がい者に対する著しい暴言又は著しく拒絶的な対応又は不当な差別的言動その他障がい者に著しい心理的外傷を与える言動を行うこと。
  • 放棄・放置:障がい者を衰弱させるような著しい減食、長時間の放置、他の利用者による①から③までに掲げる行為と同様の行為の放置等養護を著しく怠ること。
  • 経済的虐待:擁護者又は障がい者の親族が当該障がい者の財産を不当に処分することその他当該障がい者から不当に財産上の利益を得ること。
(3)使用者による障がい者虐待

(ⅰ)使用者の定義
「使用者」とは、「障害者を雇用する事業主又は事業の経営担当者その他その事業の労働者に関する事項について事業主のために行為をする者」と定義されている。

(ⅱ)使用者による虐待の定義

  • 身体的虐待:障がい者の身体に外傷が生じ、もしくは生じるおそれのある暴行を加え、又は正当な理由なく障がい者の身体を拘束すること。
  • 性的虐待:障がい者にわいせつな行為をすること又は障がい者にわいせつな行為を行わせること。
  • 心理的虐待:障がい者に対する著しい暴言又は著しく拒絶的な対応又は不当な差別的言動その他障がい者に著しい心理的外傷を与える言動を行うこと。
  • 放棄・放置:障がい者を衰弱させるような著しい減食、長時間の放置、他の労働者による①から③までに掲げる行為と同様の行為の放置等養護を著しく怠ること。
  • 経済的虐待:擁護者又は障がい者の親族が当該障がい者の財産を不当に処分することその他当該障がい者から不当に財産上の利益を得ること。

4. 虐待防止のための虐待防止委員会及びその他施設内の組織体制

当法人では、虐待発生防止及び早期発見への組織的対応を図ることを目的に、次の通り虐待防止委員会を設置するとともに虐待防止に関する責任者等など必要な措置を講ずる。

(1)虐待防止委員会
  • 本委員会の委員長は当法人の管理者とする。
  • 委員会の委員は、委員長が任命する各事業(生活介護・就労継続支援B型・共同生活援助・総務)の代表とする。
  • 委員会は、年12回(1ケ月に1回)開催する。また、委員長が必要と認めた時や虐待が発生した場合、適宜開催する。
  • 委員会の審議事項
     ・基本指針、行動規範等、職員への周知に関すること。
    ・職員の人権意識を高めるための研修計画の策定に関すること。
    ・職員が虐待等関する相談、報告することのできる体制整備に関すること。
    ・日々の支援の中で、利用者の人権を尊重し、適切な支援が行われているかを検討(職員チェックリストを活用)。
    ・虐待防止、早期発見に向けた取り組みに関すること。
    ・虐待発見時の対応に関すること(発生原因の分析・再発防止策・防止策を講じた場合の効果について)。
    ・審議された内容を周知するとともに、虐待防止対策が適正に行われるよう必要な措置を講ずるものとする。

5. 虐待防止のための職員研修に関する基本指針

(1)職員に対する虐待防止のための研修内容として、虐待等の防止に関する基礎的内容等の知識の普及・啓発するものであるとともに、この指針に基づき虐待の防止の徹底を図る内容とする。
・管理者を含めた職員全体を対象にした虐待防止や人権意識を高めるための研修
・障害特性を理解し適切に支援ができるような知識と技術を習得するための研修
・事例検討
・利用者家族等を対象とした研修 など
(2)この指針に基づく研修は、年間1回以上の研修に加え、新規職員採用時には必ず行い、研修の実施内容については記録を残すものとする。

6. 虐待が発生した場合の対応方法に関する基本指針

(1)虐待等が発生した場合には、速やかに市町村に報告するとともに、その要因の除去に努めます。客観的な事実確認の結果、虐待者が職員等であったことが判明した場合には、役職位の如何を問わず、厳正に対処します。
(2)緊急性の高い事案の場合には、市町村及び警察等の協力を仰ぎ、被虐待者の権利と生命の保全を優先します。

7. 虐待等が発生した場合の相談・報告体制に関する基本方針

(1)虐待事案は、虐待を裏付ける具体的な証拠がなくても、利用者の様子の変化を迅速に察知し、それに係る確認や管理者等への報告を行う。
(2)虐待もしくは虐待が疑われる事案を発見した職員は、利用者の安全・安心の確保を最優先し、管理者または虐待防止委員及び市町村に第一報として報告を行うとともに、管理者は家族に誠意をもって対応し、虐待の実態、経緯、背景等の調査、再発防止策を速やかに行う旨を伝えることとする。また、被害者のプライバシー保護を大前提としながらも、対外的な説明責任を果たすことなど、速やかに組織的な対応を図ること。
(3)管理者は、虐待防止委員会で論議した虐待の実態、経緯、背景、再発防止策を家族及び市町村に報告する。
(4)職員等が他の職員等による利用者への虐待を発見した場合、虐待防止委員に報告する。 虐待者が虐待防止委員本人であった場合は、他の上席者等に相談します。
(5)虐待防止委員は、苦情相談窓口を通じての相談や、上記職員等からの相談及び報告があっ た場合には、報告を行った者の権利が不当に侵害されないよう細心の注意を払った上で、虐待等を行った当人に事実確認を行います。虐待者が虐待防止委員の場合は、他の上席者が代行します。また、必要に応じ、関係者から事情を確認します。これら 確認の経緯は、時系列で概要を整理します。
(6)事実確認の結果、虐待等の事象が事実であることが確認された場合には、当人に対応の改善を求め、就業規則等に則り必要な措置を講じます。
(7)上記の対応を行ったにもかかわらず、善処されない場合や緊急性が高いと判断される場合は、市町村の窓口等外部機関に相談します。
(8)事実確認を行った内容や、虐待等が発生した経緯等を踏まえ、虐待防止検討委員会において当該事案がなぜ発生したか検証し、原因の除去と再発防止策を作成し、職員に周知します。
(9)施設内で虐待等の発生後、その再発の危険が取り除かれ、再発が想定されない場合 であっても、事実確認の概要及び再発防止策を併せて市町村に報告します。
(10)必要に応じ、関係機関や地域住民等に対して説明し、報告を行います。

8. 利用者等に関する当該指針の閲覧に関する基本指針

本指針は、利用者及び利用者家族等の求めに応じていつでも閲覧できるようにするとともに、ホームページに公表し、いつでも閲覧ができるようにします。

9. その他虐待防止の適正化の推進のための必要な基本方針

権利擁護及び障害者虐待防止等のための内部研修のほか、外部研修にも積極的に参加し、利用者の権利擁護とサービスの質の向上を目指すよう努めることとする。

附則

この指針は、令和4年4月1日より施行する。